その冬、俺たちは日本海を北上する船にいた。
「舞台の北国ってのが実は北朝鮮だなんて、ベタなネタのゲームなのか……」
「そんな所に向かってないわよ」
「北朝鮮は西ですー」
栞が地図を示す。
「進路はこっちよ」
香里が指すのは北北東。
「行き先は、なんだか難しい領有権の島々です」
「しゃすこたんとー、むしるとー、らいこけとー」
真琴が、千島の島名リストをかわいい声で読み上げている。
耳慣れないアイヌ語の音は、聞く者をトリップさせる。
酩酊感の中、俺は司馬遼太郎の『ロシアについて』を開く。
その瞬間、目の前を白刃が疾った。
「……その本は、だめ」
「あははー。司馬は北方領土返還運動は得策じゃないとか抜かしてますから」
「……奴は売国奴」
じゃ、この船の目的は……。
どごぉん、と大砲の音、そして男たちの喚声。
「密漁してる人、発見」
名雪が小さな漁船に小銃を向ける。
密漁者は、シャツを白旗代わりに掲げた。
漁船と武装艦の戦力差の前では、屈強な白人男の姿もちっぽけに見えた。
「拿捕して獲物を押収だよー」
「カニがいっぱいー♪ ホタテいっぱいー♪」
あゆの歌声が響く、札幌沖・雨の25時。
祐一が体験してしまう、北の世界とは・・・?
ゲームの中で確かめてください・・・