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covid-19関係メモ

文書の過去の版を表示しています。


 私的メモ。

PCR検査について

仕組み

 PCRはPolymerase Chain Reactionの略。ポリメラーゼ連鎖反応。Wikipedia参照。

 DNAの入った溶液に、プライマーを加え、そのプライマーに対応したDNAを増幅する。特定のDNAが少量でも含まれていれば検出可能で、様々な分野で用いられているが、今回は特にSARS-CoV-2の検出に使われている。

 SARS-CoV-2に対応するプライマーについては、COVID-19が問題になって速やかにSARS-CoV-2のRNAが解析されていて(Nature Asiaなど)、適切なものが用意されてるはず。されてなければ実施できてない。

偽陽性

 仕組みから考えると、プライマーが間違っているか、コンタミしたくらいしか私には思いつかなかった。

 プライマーの間違いであれば、世界中で検査を繰り返し実施されていて問題が起きてないはずもない。

 コンタミは、人手の作業や機械のミスやらでありえなくはないが、よほど低確率なものと思われる。「間違って隣の陽性サンプルのものがコンタミしました」なんてことが、1%なんてオーダーで発生してしまうような検査は、使い物にならんように思う。

 「特異度」というのは、陰性サンプルを正しく陰性と判定できる割合。特異度99%であれば1%は偽陽性を出す。「PCR検査の特異度は99%」と、1%も偽陽性が出るとしている話を見かけるが、99%という数字の理由、1%もミスをするという理由がよくわからない。

 島根県のような、現に感染者が稀であろうところの検査状況を見ると、陽性判定自体が1%もない。陽性サンプルが少ないんだからコンタミも少ない、とはいえるかもしれないが、それなら「陽性サンプルと一緒に装置にかけたサンプルはコンタミを疑う」とか、ミスの絞り込みも可能ということになるのでは。

偽陰性

 偽陰性については、人体からサンプリングする際に、たまたまウィルスのいない・少ないところから採取してしまう、という可能性は容易に考えられる。

 「感度」が、陽性サンプルを正しく陽性と判定できる割合。SARS-CoV-2 PCR検査の感度については、50~70%くらいかといわれているようだ。正しいのかは私にはよくわからない。

 感度70%の検査を実際に罹患している人に行うとして、2回やれば91%の確率で陽性判定が出る、3回やれば97.3%の確率で、となるんだから、特異度がほぼ100%であるなら、感度が70%でも十分有効に思う。

PCR検査は増やすべきか限定するべきか

 偽陽性は極めて少ないと考えられるので、偽陽性を理由にした検査抑制論には同意しかねる。

 偽陽性で感染していない人が隔離などの措置を受けるのは人権侵害、という理屈を見かけたけれども、無検査の感染者が市中に感染を広げている原状があって、その方が大勢の人々の人権が侵害されている・される危険に晒されているんだから、検査を減らす理由にはならない。

 偽陰性で取りこぼす可能性が高いから検査は無意味、という主張については、検査しなけりゃすべての患者が市中で見つけられなくなるのであって、論理的でない。

 偽陰性については、状況から判断して感染可能性が高いなら再検査するといった判断もできる。「誰でも希望すればいつでもPCR検査を受けられる」というニューヨークのような状況であれば、およそ取りこぼしは考えなくてよくなる。

 また、すべての患者を100%の確率で検出することは目的ではない。感染収束が目的。だから、検出から漏れた人があってもその人が感染させずに治癒すれば問題ないし、もし感染させても、感染させられた人を検出して対応できれば問題ない。

 「全員一律に検査して真の罹患率を測れ」と主張している人をテレビでみかけたけれど、その数字を知る意味がない。(人口の多い日本でそうやったとすれば、全国民中の罹患者率は低く出るだろうし、その無意味な数字をもって「日本はすごい」と言いたいだけかと思うが)

 検査に殺到して検査機関がパンクするというのは、もうそんな脆弱な態勢しか取れないほど日本の公衆衛生・医療が弱くなってしまっているだけで、日本社会がSARS-CoV-2に敗北しているというだけではなかろうか。

 陽性者が多数見つかれば病院や隔離施設がパンクするというのも、検査せず患者を市中に放置したらどんどん患者が増えてより状況は悪化するわけで、検査を強化して病院・隔離施設もどんどん増強してSARS-CoV-2と戦うしかなく、それが出来ないのは敗北しているだけ。

covid-19関係メモ.1596678140.txt.gz · 最終更新: 2020/08/06 10:42 by mubouan